フィーバー/デジタラブ
いつも枕言葉、最近寒いですねーとか、ラーメン食べ過ぎてお腹周りが気になるーとか、感想の出だしに何書こうかなと悩んでいるのですが、今日はさくっと感想に写っちゃいますね。
その4
アーティスト名:フィーバー
曲名:デジタラブ
作詞:糸井重里
作曲:鈴木慶一
編曲:難波弘之
発売日:1980年11月5日
みなさん、フィーバーってご存じですか?昔3人組の女性アイドルグループ「キャンディーズ」っていましたよね。ランちゃん(伊藤蘭)、ミキちゃん(藤村美樹)、スーちゃん(田中好子)の。そのキャンディーズの解散時期と前後して、フォロワーアイドル3人組が出てきたんですけども、その中の1グループなんです。事務所もキャンディーズと同じナベプロで、なんとしても売上を維持もしくは伸ばすために、似たようなグループを立てて、ファン層を離さない様子が伺えます。
フィーバーは、すでにモデルとして人気のあった「渡井なおみ」に、岡広いずみ、北川まゆみの3人で結成され、シングル曲は「悪魔に口づけ」「ユーアーセクシー」など、お姉さんキャラ&ほんのりお色気を感じさせる歌声と衣装で、TVの歌番組出演などで一定の人気を得ていたようです。
ただ、シングルの売上は散々なようで、解散するまでに5枚発表してますが、どれも泣かず飛ばす。個人的には、どの曲も編曲がしっかりしていて、カラフルな楽器演奏が散りばめられているので、聴くたびに新しい発見がある、スルメのようなイメージを持っています。
特に、「熱い気分の冷めないうちに」は、編曲を若かりし頃の大村雅朗さんが手がけているので、なんともゴージャスな音色を響かせています。この曲は私も大好きなので、また別の機会に感想を書きますね。
さて話を戻して、フィーバーの「デジタラブ」は最終シングルにして、彼女たちの最高傑作でもあり、テクノ歌謡曲史上に燦然と輝く名曲であります。私も名前だけは聴いていたのですが、実際動画で見たら、ドハマリしました。程よいピコピコ感(この辺がテクノポップっぽい)と、スカスカなリズム、当時としては最先端と思われるボコーダー使い(デジタラブ/ドキドキドキドキ)、なんとも愛らしい感じに仕上がっています。
作曲はムーンライダーズの鈴木慶一さん。80年当時はYMOを発端とするテクノ・ポップがブームだったこともあり、いろんなアーティストが取り入れていたのですが、フィーバーもその流れに載ってみたというとこですね。
作詞はなんと糸井重里さん。今ではほぼ日刊イトイ新聞やゲームのマザー、コピーライターとして、私が語るまでもない著名な方です。デジタラブ、デジタルとラブの造語からイメージできると思いますが、歌詞の内容は、あんまりデジタルじゃないっていうね。ある女性の優柔不断な愛する気持ちが綴られています。
編曲は難波弘之さん。私あんまりこの人知らなくてですね、WIKIをみたらキーボード使いでもあり、SF作家?でもある、異色の経歴の人みたいです。
このシングルを最後に解散してしまうんですが、「デジタラブ」の他にリリースしたシングル曲は佳作が多く、今の時代の耳で聞くと、なんでこんなに売れてないのか不思議なくらいです。3人はとっても美人だし、今でも通用する顔出ちです。歌もうまいし、楽曲も良い、トレンドとの相性やプロモーション戦略が間違っていたのか。ググってもあんまり情報が出てこない、かなりレア度の高いアイドルユニットです。もしCDで彼女たちの歌声を聞く場合は、「テクノマジック歌謡曲」「テクノ歌謡東芝EMI編」に収められてます。
最後にドリフターズの「8時だよ全員集合」でデジタラブを歌うフィーバーの動画を載せておきますね。衣装も色違いにして個性を出しているので、時代が違えば、現代のPerfumeになりえたかもしれません。
中山美穂/ツイてるねノッてるね
さーて今週の音楽帝国は?(サザエさん風)
先週のブログから早1週間、時の経つのは早いもんですね。ブログなんて日記なのだから、どんどん書き進めればいいと思っても、あの曲にしようかな、いやこの曲にしようかなと、迷ってしまうものなんです。
今回感想を書くのは、「中山美穂」さんの「ツイてるねノッてるね」です。まずは楽曲の詳細から。
その4
アーティスト名:中山美穂
曲名:ツイてるねノッてるね
作詞:松本隆
作曲:筒美京平
編曲:大村雅朗、船山基紀
発売日:1986年8月21日
私の書く80年代歌謡曲の感想は、リアルタイムを一切経過していません。90年代のJ-POPから音楽を本格的に聴き始め、ミスチル→B'z→ダンスマニア→電気グルーヴ→テクノという系譜なので、あの時TVではこうだったとか、その時はこれが流行ってたとか、そういった背景が一切ありません。
先週の吉川晃司さんでも触れていますが、歌っているところを見たことがないのです。少しは、あの人は今とか、懐かしの歌謡曲のような特番でああやっていたな、というレベルです。
なので中山美穂さんについても、知っている範囲では、WANDSと一緒に歌った「世界中の誰よりきっと」が知ったきっかけかもしれません。90年代前半はビーイング系(ZARD、相川七瀬、T-BOLAN等、長戸大幸率いる音楽事務所)が人気だったので、この曲が自然と入ってきました。
中山美穂さんが80年代にアイドルをされていて、その後女優に転身、辻仁成さんと結婚、主にドラマでは見た記憶がある程度で、ましてアイドル時代に歌っていた曲は1つも知りませんでした。
この曲に出会ったのも80年代ヒットメドレーからアイドル特集のYouTubeです。その時は、アイドルかーAKBバカにしている自分だもんなーハマったりしたらあれかなーと思っていました。
でも、食わず嫌いはいけません。どれどれ、どんな曲ジャイと制作周りを見たら「ワオ」ですよ、「ワオッ」。作詞松本隆、作曲は筒美京平、編曲が大村さんだけも十分と思いきや、フェアライト導入者でも有名な船山基紀さんも名を連ねているじゃないですか。
このメンツで良くないはずはない、そんな気分で聴いてみたら、当たりです。大当たりです。ツイてます(はっ)。なんですかこの激しいリズムは。めちゃカラダがついノッってしまう(はっ、タイトルと通り・・・)。グイグイとAメロBメロと進んでしまいます。
サビに入る直前の「女だわ」で無音になるのも、その後の期待感を膨らませてくれます。サビに入ると、そこまでぶち上げる感じではないものの、ベースとドラムとスネアが良い感じで鳴っているので、マイナー調でも気持ちよく聞けますね。
編曲が大村さんと舟山さんなので、バックトラックがほんと豪華。よーく耳を澄ますと豊かな音色でいろんな楽器が使われています。イントロだけ、サビだけ、ブレイクだけ、同じフレーズの反復が基本のテクノやハウスを聴いてきた自分にとって、とっても贅沢に聞こえます。ただ音を載せているだけでなく、このタイミングで、この音を使うから、リズムに乗りやすくなっているのかと、聴くたびに新しい発見がありますね。音楽の基礎知識はもちろんのこと、ジャンルを幅広く聴いていないと使えないような音もたくさん入っています。
人はどうしても自分の知っている範囲で物事を判断してしまうので、好きなジャンルが偏っていると、そのジャンルの曲しか作れなかったりますから。その点、このツイてるねノッてるねでは、ダンスをベースにしながらも、効果的なSE(サウンドエフェクトの略)やギターリフ、ピアノ、ストリングス、コーラス、駆け上がりのフランジャーなど、ほんと盛りだくさん。これぞ「プロ」の仕事ですね。
作詞の松本隆さんも、松田聖子に提供する可愛らしい乙女の詩も書けば、バブル前夜のイケてる女性(モテて困る)の詩も用意できる、ほんとどれだけの女を知っているのでしょうか。経験豊富なのか、それとも想像力豊かなのか、質と量が両立する稀有な方です。
作曲は筒美京平さん。この方の功績は、様々なブログで取り上げられているので、ことさら私が紹介するまでもないかなと。80年代のヒット曲の大半は筒美さんの作曲ですからね。どんだけハイペースで作曲できるんだと。
しかも、そんなことはありませんが、似た曲がない。私なんてDJ用のトラックを作ると、どうしたって似てきますからね。それだけ音楽の幅が狭いってことにつながるんですけど笑。しっとりした曲、明るい曲、悲しげな曲、ダンサブルな曲、なんでこんなに作れるのか不思議です。
んで、なぜか最後になりました、中山美穂さんの歌声です。音痴ではないと思う、特長のある声ですが(ちなみに私は音痴です笑)、音程がしっかり取れているわけでもなく、ギリギリ次第点かなと思います(←何様だ)。可愛らしく少しふわっとした感じもあります。楽曲と声の調和は取れているので、聴き疲れすることもなく、耳に優しい声質ですね。
中山美穂さんって、目鼻立ちがはっきりしていて、意志の強そうなエキゾチック感が出ている人なので(アイドル時代)、声が強い感じが思想なのですが、意外とそのギャップのある声がいいのかもしれません。
どうしてもクラブミュージック系DJをやっていたせいで、歌声はもちろんですが、バックで流れている楽曲中心のレビューになってしまいす。楽曲も豊かですが、ダンサーにも注目な動画を上げときます。
吉川晃司/ラヴィアンローズ(LA VIE EN ROSE)
ブログってすごい方だと、一日数回記事をアップしてますが、あれってもうブログが仕事の大半を占めてますよね?あんなに長い文をそんな短い間隔で更新してると思うと、上には上がいるなあと思い知らされるばかりでございます。
さて、80年代歌謡曲レビュー、今回は、吉川晃司さんの3枚目のシングル曲でもあり、アルバムタイトルにもなりました、「ラヴィアンローズ(LA VIE EN ROSE)」について書きたいと思います。
その3
アーティスト名:吉川晃司
曲名:ラヴィアンローズ(LA VIE EN ROSE)
作詞:売野雅勇
作曲:大沢誉志幸
編曲:大村雅朗
発売日:1984年9月10日
作詞は、私の好きな中森明菜さんや河合奈保子さんほか、一度は聴いたことのある歌謡曲を多く手掛けた売野雅勇さん。作曲は、「そして僕は途方に暮れる」の大ヒットでおなじみの大沢誉志幸さん。そして編曲は、いつもタイトなリズム隊と少ない音数できっちりまとめ上げる、私の大好きな大村雅朗さんです。
つとに歌謡曲にハマったからこそ、この3人のタッグの豪華さが分かるのですが、なにせ私が20代の頃は、クラブミュージック、しかもアングラであればあるほど尖ってかっこいい、イケてると思っていた口ですから、売れてる曲がなんぼのもんじゃいって思っている時代がありました。
ましてDJでかけるテクノというジャンルの曲は、基本インストゥルメンタル、つまりボーカルが入っていなくて、リズムだけでいかに躍らせるかが勝負どこになっていました。そこに歌謡曲、いわゆるJ-POPの前進くらいにしか思っていなかった私にとって、「ボーカルを聴かせるために、バックトラックや楽器はうスーく流れてて、あってもなくてもみたいな感じでしょ。現に人気の出るバンドとかは、大体ボーカルが売れて、周りのパート(ドラム、ギター、ベースなど)を差し替えてもなんとかなるんでしょ」と、今考えると恥ずかしい思考全開でした笑
このお三方のお話は後述するとして、歌謡曲をあれこれ聴いているうちに出会ったのが吉川晃司さんの曲です。私の中の吉川晃司さんのイメージは、①DonDokoDonのぐっさんがモノマネをする肩パットがスゴいスーツを着ていた人(モニカの頃でしょうか)、もしくは②テクノDJのDJTASAKAと、今は亡きテクノトラッカーKAGAMIがタッグを組んだ「DISCO TWINS」が作曲した”JuicyJungle”でボーカルだった人、くらいにしか思っていませんでした。後は、布袋寅泰とのCOMPLEX(曲は聞いたことない)の片方の人ですかね。
そもそもが、なんか怖そうな人の曲って聞かないんですよ。今で言うとEXILE系、湘南レゲエ系、金ネックレスジャラジャラ系HIPHOP(いとうせいこう、近田春夫のは聴く)などですね。音楽ってファッション要素も強いので、この辺の怖い曲を聴いても、カッコまでは真似したくないな-ーできないなー、じゃ聞かないっていう構図です。
でも、80年代に活躍した人だし、デビュー曲の「モニカ」くらいしか知らなかったので、ラヴィアンローズってどんな曲だろうって聴いてみたら、めっちゃ音圧高くてリズムもダンスっぽくてタイトだし、しかも吉川さんの声、素敵やん。ってなったんですよね。
リズムの出だしなんか、口で言うと、ヅヅタタ、ヅヅタタって、そのままクラブでかけてもいいくらい踊れちゃうリズムになっていて、なんなら吉川さんのボーカルよりも前に出てるんですよ。
歌謡曲ってこの曲に限らずなんですけど、リマスタリングされたCD、いや当時のレコード直録音でもそうだと思うのですが、意外と音が分厚いことに気付かされます。このラヴィアンローズも、曲の隙間がなくみっちり詰まっている感じ、でも圧迫感がない、絶妙な編曲に仕上がってます。音が重なりすぎるとうるさくて長く聞けませんし、逆にスカスカ過ぎてもボリューム不足でのっぺりしてしまいます。このあたりは編曲の大村さんのナセル技ですね。
メインリズムの他に、ちょっとずつ使うおかずの音や、音のメリハリがきっちり効いて、それでいてボーカルが埋もれない。しかも今から30年も昔でこのクオリティ。私もDJの延長で曲を作っていましたが、やはりプロはスゴい、俺がやっていたのは趣味の範疇だ、って思えるくらい、そのくらい差があります。
作曲の大沢誉志幸さんも、自身の曲はファンキーな感じが多いのですが、中森明菜さんの「1/2の神話」や沢田研二さんの「晴れのちBLUE BOY」など、ボーカルの人をきちんと立たせる曲を提供しています。ただ、大沢誉志幸さんは、自分のライブでもアーティストへの提供曲を結構歌うらしく、このラヴィアンローズなんかは、吉川晃司さんに上げなきゃよかったーって言ってる記事を見たことあります笑。それくらい、会心のできただったんですね。
作詞の売野さんもたくさん書きたいのですが、なにぶん私がテクノ出身のため、どうしても曲そのものやリズムに目が行き勝ちになり、歌詞の凄みってのがまだあんまり響いてこないんですよね。そこが分かるようになってから、曲のレビューをする時にかけたらなと思います。
んでボーカルの吉川さんですが、まあーいい声してるわ。何回聴いても飽きないというか、サザンの桑田さんやチューブの前田さんのように、癖が強い!(by千鳥)独特のうたいまわしというか、たまに何言ってるか聞き取れない言葉がありますもん。
また、甘いささやきのような、ちょいワルっぽい声というか、あんまり表現うまくないですが、女の子がキュンキュンしそうなトーンです。この頃の吉川さん、まだ若いせいか、声も少し可愛らしい感じが残っています。最近のライブの動画とか見ると、めちゃワイルドですからね。
なんか、長渕剛も昔は普通だったのに、いまじゃ癖がスゴいですもんね。「っうぉい!」みたいな。え、今なんて言ったの?っていう歌い方ですもん。HIT曲のアレンジがすごすぎて、原曲ってどんなんだっけ場合もありますから。
長渕さんはまた別で曲の感想を書くとして笑、話を戻します。曲のタイトル、「ラヴィアンローズ」ですが、フランス語で”薔薇色の人生”っていう意味だそうです。うーん、吉川晃司さんにピッタリ。ちょうどモニカでヒットを飛ばして、続くセカンドシングルの「サヨナラは八月のララバイ」も売れて、飛ぶ鳥を落とす勢いでしたから、このタイトルでも嫌味なく受け入れられたんだと思います。そりゃそうだと。
しかし、こんないい曲を今まで知らずに過ごしてきたのがもったいないくらいです。みなさんも、「あー吉川晃司とかいたなー」と過去の人して見るのではなく、もう一回聴いてみてください。最近の大量生産の曲に耳が慣れていると、「あれ、こんなにカッコイイ曲だったっけ」と思うはずです。
しかも、何度も聴くうちに、あ、こんな音もなっていたんだ、ここの歌ってるパートいいなあ、癖になるポイントがいくつも散りばめてあります。今と違ってそんなにたくさんの曲をポンポン出せるわけではないので、より長く聞ける曲が作られていた良き時代の、豪華な曲に耳を傾けてみてください。
またYouTubeの動画上げときますねー。吉川さんのパフォーマンスにも注目です。
クリスタルキング/セシル
さて今回感想をお送りするのは、「大都会」の大ヒット、北斗の拳のオープニング曲「愛をとりもどせ」で有名な、クリスタルキングの隠れた名曲「セシル」です。
その2
アーティスト名:クリスタルキング
曲名:セシル
作詞:大津あきら
作曲:山下三智夫
編曲:梅垣達志
発売日:1982年7月21日
冒頭でも触れた2つのヒット曲、「大都会」はこれまで歌謡曲を通過してこなかった私にも、缶コーヒーのCMソングとして耳に入ってきてますし、「愛をとりもどせ」は、TVで懐かしアニメ特集で北斗の拳が取り上げられた時に、必ずと言っていいほど流れていましたので、クリスタルキングは知名度の点ではかなり高いかと思います(少なくとも私より上の世代には)。
ただ、この2曲はあちらこちらで聴きすぎたせいか、ド定番過ぎて、今更改めて聴くまでもないかなーと、なんせサビとかはなんとなく歌えますからね。よしじっくり腰据えてってならなかったんですよ。
で、私が当時の歌謡曲を聴く時は、もちろんHIT曲が自分にハマればそのまま、自分のスマホに取り組むのですが、はまらない場合、そのアーティストのHITした曲の周辺やデビュー曲、または世間の注目を浴びなくなってから(←失礼汗)発表された曲を追いかけています。
アーティストの方は、一人でも多くの人に自分たちの曲を届けて、聴いてもらうことによって、元気になってもらいたい、勇気をもってもらいたい、楽しくなってもらいたいと思っているはずです。
それが、楽曲の良さはもちろんのこと、当時のトレンドや、プロモーション、ユーザーの心理などが重なり合って、多くの人の心を掴んだ曲=HIT曲が生まれたんだと思います。なので、アーティストは、いつでも良い曲を私たちに届けているのであって、売れた曲=いい曲、売れてない曲=悪い曲とはならないのです。
特に私のような聴き方をすると、HIT曲よりも心を動かされる曲に出会います。それが今回ご紹介する、クリスタルキングの「セシル」という曲です。
クリスタルキングは、普通の人が歌ったら血管が切れそうなハイトーンボイスを繰り広げるヴォーカル田中 昌之さんと、低音パートの渋い歌声を披露するムッシュ吉崎さんをメインとしています。
しかし、この「セシル」は違うんです。田中さんでもなく、吉崎さんでもない、なんとギターの山下三智夫(やましたみちお)さんが、メインヴォーカルとして歌っているんです。なんともいえない、甘く透明感のある歌声で、清涼感たっぷりで涼しさが伝わってきます。メロウなギターリフ、やわらかなピアノの音色、昔を懐かしく思う郷愁さも合わさっていますね。初見で聴いたら誰もクリスタルキングの曲って思わないです笑。
サビに入ると、田中さん&吉崎さんがバックコーラスして重なってくるので、分厚くなりがらも、終始爽やかを漂わせているのは、作曲の妙でしょうか。
これを書いている今、毎週台風が接近して、寒い秋を過ごしています。この曲を聴くと、夏の情景が目の前に浮かぶようです。当時はシングルとして発売されてましたが、あんまりHITはしなかったようです。
それでも、別のHIT曲をきっかけに、こうした名曲に巡り会えたことは幸せだなと思っています。YouTubeでググれば、画像は荒いですがまだ残っていますので、興味のある方はぜひ。
【クリスタルキング/セシル】
河合奈保子/スマイル・フォー・ミー
さて、今回から音楽のレビューを書いていくわけなんですが、最近お気に入りの80年代歌謡曲から始めちゃいますね。
その1
アーティスト名:河合奈保子
曲名:スマイル・フォー・ミー
作詞:竜 真知子
作曲:馬飼野康二
編曲:大村雅朗
発売日: 1981年6月1日
はい出ました、80年代初期のアイドルブームを支えた功労者の一人、河合奈保子さんです。一般的な知名度や人気でいえば、松田聖子さんや中森明菜さんに軍配があがると思いますが、その次ぐらいのポジションを獲得されていたアイドルです。私が生まれたのは1982年なので、まだ生まれてない時の曲を聴く、なんか不思議な感じがします。
この曲と出会ったのは確かYouTubeで80年代の歌謡曲をまとめたチャンネルがあって、そこで各年代のヒット曲を片っ端から聴いていたんですよ。そこで耳に止まったのかこの曲でした。
そもそも、リアルタイムでまったく聴いたことがなかったので、今2017年ですよ、1981年っていったら36年前ですよ。そんな昔の曲なのに、なんと新鮮に聴こえることか、ほんと驚きです。なんでこんなにクオリティが高いんですかね。全然劣化していない、むしろ新しい。私にとっては新曲を聞いてる感じです、今月発売されましたよみたいな。
さて、自分の近況はそこそこにして、曲の感想に移りましょう。
「スマイル・フォー・ミー」
直訳すると”私のために笑って”みたいな意味になるのかな?河合奈保子さんって、いつでもニコニコ元気で笑顔を絶やさず、周囲に明るさを振る舞っていた、まさにザ・アイドルって感じだったようです。
昔の歌番組に出演した時の動画を見る限りでは。そんな行動をそのまま表したかのような元気いっぱい笑顔いっぱいになれる、そんな予感を感じさせるタイトルです。
まず聴いて驚くのは、「歌声、めっちゃ綺麗やん」です。
声のクリアさもさることながら、音程が正しく取れていて、とっても耳に優しいんです。現代のアイドルと比べるのは酷ですが、当時はビジュアルはもちろん、ボイストレーニング、振り付け、受け答えなんかも含めて、ある程度表舞台に立てるように仕立ててからデビューさせてたので、こんなにレベルが高いんですね。まあ聞きやすいこと、目からウロコです。
で、声はとっても綺麗なのは分かった。
じゃあ楽曲はというと、これもまたとってもリッチ。
当時81年、まだあんまりシンセサイザーとか打ち込みがそこまで主流じゃないので、楽器を演奏するとなると「生」が基本。ドラムやギター、ベース、ピアノ、管楽器(ブラス、トランペット、ストリングスなど)、今やPC一台ひと一人いれば完結する中で、実際に演奏する厚みが伝わってきます。歌番組とかでも、バックに何十人も演奏する人がいますもんね。今じゃソロのアーティストに、バックでバンドいたら豪華だなって感じますもん。
いかに当時、勢いと予算が音楽業界にあったのかがわかります。耳を澄ませて曲を聴くと、いろんな音が重なり合って、決して歌声を潰さないように、引き立て役、時には全面に出ているので、どちらも楽しめるのが魅力ですね。
なんでこんなに乗れる楽曲なんだろう、この曲を作曲者、”馬飼野康二”さんってだれ?と思って調べてみたら、まーキャリアも長い方で、今でもジャニーズに楽曲提供するなど、ガチンコの重鎮でした。80年台からアイドルの楽曲を多く手がけていて、河合奈保子さんにも、多数提供されてました。その他の曲紹介はまたおいおい行って行きますね。
また、テクノやハウスDJをしていた職業病なのか、とにかくノれるかどうか、4つ打ち、いわゆるダンス要素が強いかどうかで良い曲悪い曲を分けちゃう傾向を持ってます笑。80年代の歌謡曲を聴くまで、「歌声がメインなのは分かるけど、楽曲って添え物な感じがするから、そんなにゴリゴリのダンス・ダンスしてないよな。まして今のEDMみたいに、ドスドスしてたら逆に怖いな」と思っていて、あんまりいい印象持っていなかったんです。テクノやハウスは4つ打ちのキック音がやたらでかいですから。
このスマイル・フォー・ミー、ドスドスとまでは行かないまでも、しっかり4つ打ちでリズムが取れるんですよ。ええ~しっかりしてるー、タイトな音出てるーと。
なんでこんなにリズムがしっかり刻めているんだろう。なんでこんなに複数の音がなっているのにぶつからないんだろう。
そしたらですよ。編曲家という方が、バックトラックの構成を考え楽器演奏者に指示をしているそうじゃないですか。てことは、この”大村雅朗”さんが、この曲の全体をまとめているんだって知った時は、単純に、なんてかっこいいんだって思いました。
全然スマイル・フォー・ミー自体の話、してないですね笑
朝会社に向かう電車の中で、お昼休みにランチを食べながら、帰り道で、ありとあらゆる場所で聴きまくった思い出の曲です。この曲をきっかけに河合奈保子さんの曲、ひいては馬飼野康二さん作曲作品、大村雅朗さん編曲作品を探すことになったのです。
本来であれば画像やYouTubeを貼りたいのですが、リンクの設定方法がいまいちわからず。YouTubeはいけそうだけど、像は今やキュレーション問題があって、安易に転載がしにくいようなので、しばらくはテキストベースですすめようと思います。あとでチューニングもかけられますからね。
それでは、また次回、お楽しみに。
【河合奈保子/スマイル・フォー・ミー】